辞書の基礎知識


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辞書には投資を

「辞書はお金で買える実力」といいます。いい翻訳者になるためには、いい辞書を買い揃えることが必要です。また言葉は刻々と変わっていきます。もったいないようですが、順次最新版に買い換えていくこともやむを得ません。ただし、やたらと数を集めればいいというわけではなく、使い方も重要です。辞書は安いものではありません。せっかくお金を出すのなら上質の、使い勝手のいい辞書を、上手に買いたいもの。このサイトがそのお役に立てれれば幸いです。


LogoVista 辞書について【重要】

これまで、EPWINGブラウザで使えるCD-ROM辞書(ダウンロード版含む)の選択肢の一つとして、LogoVista版をご紹介してきましたが、最近事情が変わりました。


今までは、LogoVista辞書を使うには2つの方法がありました。
1)EPWINGブラウザ(EBWin4、Logophile、Jamming等)
(主に2013年頃より前に発売された辞書タイトル)
2)LogoVistaソフト


1)のほうがずっと便利で、強くお勧めしてきたわけですが、今回メーカー側の仕様変更で、1)が使えなくなったことがわかりました。2013年以前に発売されたタイトルでも、最近購入したり、マシン買い替えなどの理由でインストーラーを新規に「マイページ」からダウンロードすると、EPWINGブラウザでは使えなくなります。


つまり、LogoVista版コンテンツは、同梱のLogoVistaブラウザでしか使えなくなったということです。あいにくLogoVistaブラウザはインストールも各種設定も検索も、すべてが絶望的に使い勝手が悪いので、LogoVistaコンテンツを積極的にお勧めできなくなったのが残念です。LogoVista社には操作性の改善をお願いしていくつもりですが、当面はiOS用の物書堂アプリ、あるいはKODやジャパンナレッジなどの有料オンライン辞書のほうが優先順位は高くなると考えて良いかも知れません。


詳しくは帽子屋さんこと高橋聡さんのブログ記事をお読みください。
「LogoVista辞書データについての重要な話」 (禿頭帽子屋の独語妄言 side α 2020-09-26)
https://baldhatter.hatenablog.com/entry/2020/09/26/220844

[2020/10/02]


代表的な辞書ブラウザ
[追記:2017-02-26]この数年、CD-ROM辞書を取り巻く環境がだいぶ変わったのですが、このエントリーをなかなか最新にすることができずにいます。EPWING辞書に興味を持たれた方は、「ビジネス技術実用英語大辞典」[リンク]を制作されている海野和子さんによる「EPWING電子辞書/事典/書籍を閲覧するためのEPWING閲覧ソフトの使い方(Win,Mac,iOS,Android...)」[リンク]をぜひご参照ください。

翻訳フォーラムの幹事4人で共同執筆した「翻訳のレッスン」(講談社, 2016)第3章にも辞書環境の整え方が書いてあります。また翻訳フォーラムでは定期的に辞書や辞書ブラウザに関するセミナーやイベントを行っています。イベント情報はfhonyaku.jpをご覧ください。

辞書の種類と形態

翻訳に使う辞書や資料にはいろいろな種類と形態があります。

【種類】翻訳の仕事をするには英和/和英辞書・国語辞典・専門用語辞書・百科事典・用字用語辞典などが必要です。次ページ以降では、イマドキのプロの翻訳者に人気のある辞書を紹介していきます。

【形態】辞書には従来からある紙のものにくわえて携帯用電子辞書、電子ブック、CD-ROMなどさまざまな形があります。現在、翻訳者の間でもっともポピュラーなのは、パソコンのハードディスクに格納して使うCD-ROMです。以下に各形態の特徴を記します。

★CD-ROM
[メリット] 速く引ける。原稿作成と同じ画面で引けるので視線と手の移動が少なく疲れない。引いた結果を原稿にコピー&ペーストできる。複合検索など複雑な検索ができる。英和辞書でも和英として使える。一回の入力で複数の辞書を引くことができる(串刺し検索)。
[デメリット] ある程度PCのHDD容量が必要(1タイトル500MB前後)。紙・携帯用電子辞書よりは高価である(内容・使い勝手に照らせば十分安いが)。
★携帯用電子辞書
[メリット] 重量が軽い。スイッチを入れたらすぐ使える。電池のもちが良い。CD-ROMを揃えるより安価。
[デメリット] 辞書の組み合わせが限られている。新しい辞書が出ても中身を部分的に入れ替えることはできない。画面やボタンが小さく、長時間PCと併用すると疲労する(※最近はSIIのPASORAMAシリーズのようにPCにUSBケーブルでつなげるタイプも登場している→残念ながらSIIは電子辞書事業から撤退してしまった。基本的に入手は不可能になったが、たまにデッドストックが市場に出回ることがある。)
★紙
[メリット]もっとも安価。手書きでメモが書きこめる。
[デメリット] 引くのに時間がかかる(探している語句が見つかるまでが大変)。持ち歩くには重い。
★オンライン辞書
[メリット] 最新の情報にアップデートされる。
[デメリット] ネット環境がないと使えない。一部には情報の出典がはっきりしないものがある。
★スマートフォン用アプリ
[メリット] 普段使用しているスマートフォンに簡単に導入できる。
[デメリット] 操作性が悪い。他の辞書タイトルとの連携が難しい。
★電子ブック(データディスクマン)
[メリット] 徐々に中身が書い足せる。新しいタイトルが出たら中身だけ買い換えれば良い。ケースから出してパソコンに入れれば、CD-ROMと同じように使える(機能制限あり)。
[デメリット] 携帯用電子辞書に比べると重い。動作が遅い。電池がすぐになくなる。90年代以降タイトルの新発売がほとんどなく、過去のものになりつつある。


数年前までは自宅で作業をすることが多い人はCD-ROMをデスクトップに格納し、外出が多い人は携帯用電子辞書や電子ブックを使うことがよくありました。しかし軽量で安価なノートパソコンがたくさん出てきた現在では、必ずしもこの通りではなくなりました。ハードディスクの大きなノートパソコンや高速通信回線があれば、外出先でも家とまったく同じように作業ができるのです。


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