業界を知る本
タイトル | 媒体 | 出版社 | 著者 | 発行年 | 収録語数 | 価格 | 詳細 (画像をクリック) |
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できる翻訳者になるために プロフェッショナル4人が本気で教える 『翻訳のレッスン』 [知識を増やす本:翻訳作法] [★特集コーナー★] | 書籍 | 講談社 | 高橋さきの, 深井裕美子, 井口耕二, 高橋聡 | 2016 | \1,836 | ||
機械翻訳やクラウドソーシングの台頭で、翻訳者を取り巻く環境は年々厳しくなってきています。そんななかでプロとして生き残っていくためには実力をつけるしかありません。IT、出版、特許、エンターテインメントとまったく違う分野を専門としていながら「翻訳とは原文を読んだ読者が思い浮かべる絵と訳文を読んだ読者が思い浮かべる絵を同じにする作業である」という点では意見を同じくしている4人が、長年の翻訳経験と翻訳フォーラムでの活動から得たさまざまな知識や技術を次の世代に遺し、実力をつけてもらおうと、この本を作りました。これから学習を始める方、自己流で来てしまったプロの方、言葉に興味のある方…さまざまな方にお楽しみいただけるようにしたつもりです。 著者4人の講演・執筆活動については「翻訳フォーラムからのお知らせ」サイト (fhonyaku.jp)をご覧ください。 | |||||||
★業界を知る本 | |||||||
翻訳とは何か: 職業としての翻訳 [★特集コーナー★] | 書籍 | 日外アソシエーツ | 山岡洋一 | 2001 | \1760 | ||
長らく品切れ状態が続いていた名著が、めでたく増刷された。翻訳を学び、仕事にしたいと思っている人は、とにかく、まずこの本を読んで欲しい。どれほど翻訳が難しい仕事であるかがわかる。発売が2001年、著者の山岡さんが亡くなられたのが2011年とだいぶ経つが、一切色褪せることのない内容。 | |||||||
翻訳事典2019-2020 DVD付 [★特集コーナー★] | ムック | アルク | 2019 | \1,728 | |||
「今年の編集部は腹をくくった」。読んで初めに感じたのがこれだ。翻訳スクールの紹介や新人コンテスト、誌上レッスンなどがあるのはいつも通りだが、特集記事が違う。良い翻訳をするためにはどうしたら良いか。そもそも良い翻訳とは何か…真正面から翻訳と向き合った記事が満載。翻訳系のムック・雑誌は年に何冊も出るが、あちこちに遠慮するのか、「真正面」のものは実は少ないから、今号は貴重だ。 なかでも特集「機械にはできない『本物の翻訳』 機械翻訳と人間翻訳者」は圧巻だ。現場の翻訳者が検証した、現在の機械翻訳のリアル。機械翻訳を採用することで翻訳者の頭脳そして日本語の将来に与える危険。今の時代に我々は何をすべきかが、見えてくる。機械翻訳から遠いところにいるように思える映像翻訳者・文芸翻訳者が、現状をざっと把握しておくにも最適の記事だ。 巻頭マンガも、はじめての試み。マンガだからと気楽に読んでいると…いても、もちろんいいのだけれど、実はものすごく本質的なことが書かれていて、ぐっとくる。翻訳者・翻訳関係者の紹介する、ちょっと変わった辞書の記事もほかでは絶対読めないし、今号はなんとDVDまでついている。動画4本のうち1本では、このサイトでもたびたび紹介している辞書ブラウザEBWin4の使い方を、「帽子屋」さんこと高橋聡氏が動画で説明している。 発売翌日に、アマゾンの総合順位で最高59位まで上がったのも頷ける。今年の『翻訳事典』は、間違いなく「買い」だ。今のところ増刷するという話は聞こえてこないし、中古だとDVDがないかもしれないので、早めに購入しておくのが吉かもしれない。 ツイッターでの評判(2019/1/30-2/5) [リンク] | |||||||
翻訳地獄へようこそ | 書籍 | アルク | 宮脇孝雄 | 2018 | \1728 | ||
『翻訳の基本―原文通りに日本語に』、『「続・翻訳の基本―素直な訳文の作り方』(いずれも研究社)でお馴染み、宮脇孝雄さんの最新作。軽いエッセイ風なのでサラッと読めるが、実に奥深い本。翻訳フォーラム幹事の共著『翻訳のレッスン』にも通じるところが多く、管理人は頷きすぎて首が千切れそうになった。 Kindle版(1,469円)もある。 | |||||||
プロが教える技術翻訳のスキル [★特集コーナー★] [★特集コーナー★:翻訳教室 (1)] | 書籍 | 講談社 | 時國滋夫、高橋さきの、大光明宜孝、佐藤エミリー綾子、田中千鶴香 | 2013 | \2,520 | ||
現役のプロ翻訳者が書いた、実用的な本。特定の学校や講座、エージェントなどに紐付けられていない分、本当の本音が読める。「技術翻訳」というタイトルではあるけれど、翻訳という仕事の本質、必要な技術、取り組み方、勉強方法、仕事の得方など、どの分野にも共通する話題が満載で、全翻訳者・翻訳者の卵必読。逆に、この本に書いてあることを頭に入れてからでないと翻訳の仕事はしないほうがいいとさえ言える。文章は読みやすく、しかし中身は重く、深い。 [Update:2014/02/09] 好評につき増刷決定。 [Update:2014/10/1]Kindle版が出ました![リンク] | |||||||
字幕屋のニホンゴ渡世奮闘記 [★特集コーナー★] [★特集コーナー★:基礎II (2)] | 書籍 | 岩波書店 | 太田直子 | 2013 | \1785 | ||
現役字幕翻訳者の太田直子さん(『ボディガード』『バイオハザード』シリーズなど)が「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」以来6年ぶりに出された本。字幕翻訳の作業工程やプロの生活(?)がよくわかる。憧れの映像翻訳者になれただけではだめ。使い捨てにされない翻訳者になるためには、ちゃんとした知識と意識を持っておく必要がある。これから字幕を勉強する人、プロになるために勉強中の人、走り出してみてもがいている人に特にオススメ。 東京新聞の著者インタビュー(2013年5月28日)はこちら。[リンク]「字幕翻訳の世界に限らず、若い人にまっとうな仕事をさせてあげてほしい。生身の人間が、その人なりに真摯(しんし)に働くことに対し、敬意を持って報いてほしい。目先の収支や机上の数字だけで人を部品のように使い捨てる社会は、大局的に見れば大損失を招くだろう。」こう公言し、社会に向かって発言してくださって、本当にありがたいと思う。 | |||||||
映画字幕(スーパー)の作り方教えます | Kindle | 文藝春秋 | 清水俊二 | 2012(1988) | \735 | ||
字幕翻訳の草創期を支えた清水俊二さん(戸田奈津子さんのお師匠さん)の名著が、発売後24年を経て電子化。亡くなられたのが昭和63年だから、今とはまったく状況は違うが、どうやって日本の字幕文化ができたかを知るには最適の本。読んで楽しい一方、昔も今も苦労するところは一緒という発見も。紙版は絶版になって久しいので、再発売してくれた版元に心から感謝。 | |||||||
あなたも翻訳家になれる!―エダヒロ式 [英語→日本語]力の 磨き方 [★特集コーナー★:基礎II (6)] [★特集コーナー★:翻訳教室 (4)] | ダイヤモンド社 | 枝廣淳子 | 2009 | \1500 | |||
アル・ゴアの「不都合な真実」の訳などで知られた枝廣さんが、もてるノウハウのすべてを惜しげもなく公開している本。「未経験者不可」の壁をどうやって破るか、リピート発注はどう獲得するかといった営業面から、「足さない引かない」「主観を入れない」「読み手を想定する」など、翻訳に対する基本姿勢まで、幅広い内容を網羅している。「実務翻訳を仕事にする」と「トライアル現場主義!―売れる翻訳者へのショートカット」が実務翻訳入門書の双璧とすると、この本は出版・映像分野において今いちばん具体的で、実践的な本と言えるだろう。すばらしい。 | |||||||
トライアル現場主義!―売れる翻訳者へのショートカット [★特集コーナー★:基礎II (6)] [★特集コーナー★:翻訳教室 (4)] | 書籍 | 丸善 | 近藤 哲史 | 2005 | \1,680 | ||
翻訳の仕事の始め方は色々あるが、まずは翻訳会社やエージェントのトライアル(採用試験)を受けるという人が一番多いかも知れない。トライアルのやり方は各社違うので、この一冊の内容だけが絶対というわけではないが、本書に掲載された実際の問題や受験者の回答、それに対する赤や評価を通じて、どこを見られて、どう採点されるのか、どういう応募者が好まれるかがわかる。また実務翻訳を題材にしてはいるが、どの分野でも基本は同じなので、じゅうぶん役に立つ。はじめて受験する人、受けても受けても落ちる人はぜひ一度読んでみるといい。 | |||||||
字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ | 書籍 | 光文社 | 太田 直子 | 2007 | ¥735 | ||
あまりにあんまりなタイトルに、変な本だったらどうしようかと正直引いてしまったのだが、いざ読んでみたらそんなことはまったくなし。というか、いいんですか、こんなに「オトナノジジョウ」を明かしてくださって。字幕や翻訳を知らない人は「へえ、こういう仕組みなんだ」と思えるだろうし、知っている人は「そうそう、そうなの!」と頷くだろう。さらっと読める本音の業界事情。オススメ。 | |||||||
翻訳家の仕事 | 書籍 | 岩波書店 | 岩波書店編集部(編) | 2006 | ¥777 | ||
岩波書店『図書』誌の連載「だから翻訳は面白い」をまとめたエッセイ集。翻訳をすでにしている人なら「そうそう、そうなのよ!」と思えるし、翻訳を目指している人なら未知の世界を垣間見ることができる。仕事のやり方や内容はさまざまなれど、登場する翻訳家37人に共通しているのは「世に紹介したい本がある」「原書と向き合うのが好き」「(たいがい)儲からない」ということか…。 | |||||||
朝2時起きで、なんでもできる! (文庫) | 書籍 | サンマーク出版 | 枝廣 淳子 | 2006 | ¥570 | ||
超深夜型の筆者には絶対関係ない本だと思ってハードカバーの時には読まなかったのだが、文庫化にあたって目を通してみてびっくり。2時起きの話はほんの少しで、実はどうやってゼロから英語を勉強し、通訳になったかというのがメインだった。一見無謀とも思えるような方法だが、目標を立てて突き進めば必ず実現するという素晴らしい例。翻訳にせよ通訳にせよ、プロになりたいと思っている人は、ぜひ一度読んでみて欲しい。 | |||||||
明治大正 翻訳ワンダーランド (新潮新書) | 鴻巣友季子 | 2005 | ¥714 (税込) | ||||
インターネットはもちろん、海外体験や外国人との直接の接触さえ珍しかった頃、翻訳者たちはどうやって物語を理解し、伝えたか。今より遥かに難しかっただろう作業を、どんな情熱をもって行ったのか。今だったら考えられないような「珍訳」「名訳」も多々紹介されていて、楽しく読める。 | |||||||
字幕仕掛け人一代記 -- 神島きみ自伝 | 神島きみ | 1995 | ¥2,487 (税込) | ||||
字幕制作会社テトラ誕生のいきさつやメソッドの確立過程など、字幕翻訳の道を目指すならぜひ知っておきたい日本の字幕史……も、もちろん興味深いのだが、なによりこの神島さんという大正6年(1917)生まれの方の一代記として読むとすばらしい。明治・大正の女性というのは、なんと強く、柔軟なのだろうか。神島さんは2005年4月に亡くなられた。 | |||||||
不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か | 米原万里 | 1997 | ¥514 | ||||
ロシア語通訳の第一人者による数々の痛快なエッセイの第1作がこの本。通訳者や志望者のみならず、コトバの仕事をしている人すべてにお勧め。小説デビュー作「オリガ・モリソヴナの反語法」ほか、米原さんの著作一覧はこちら。米原さんは2006年5月25日に亡くなられた。 [Update:07/03/02] | |||||||
放送通訳の世界-衛星放送のニュース番組を支える立役者 | BS放送通訳グループ | 1998 | ¥880 | ||||
NHKニュースの現役同時通訳者4人が語る、放送通訳の現場、ルール、勉強法。中身が濃い1冊。 | |||||||
英語屋さん―ソニー創業者・井深大に仕えた四年半 | 浦出善文 | 2000 | ¥660 | ||||
企業トップの元通訳によるメモワール。帰国生でも留学経験者でもない著者が、必要に迫られて英語(それもエグゼキュティブとしておかしくない英語)の実力を身につけていった様子がよくわかる。続編(「英語屋さんの虎の巻」)もお勧め。 | |||||||
映像翻訳者になろう--英語力を活かしたマスコミの仕事 | 日本映像翻訳アカデミー | 1997 | ¥1,300 | ||||
映像翻訳は映画の字幕だけではないのである。出版から年月を経て内容が古くなってきたことは否めないが、依然映像翻訳業界の概要を知るためには有用。「はじめての映像翻訳」(2011)出版以前には、ほぼ唯一の情報源だった。 | |||||||
通訳席から世界が見える--A message after 22 years | 新崎隆子 | 2001 | ¥1,200 | ||||
トップ通訳者が語るプロへの道、仕事の様子、英語上達法。 | |||||||
実務翻訳を仕事にする | 井口耕二 | 2001 | ¥700 | ||||
実務翻訳者だけでなく、すべての翻訳者に役立つ本。旧ニフティ・翻訳フォーラムの人気連載「二足の草鞋の履き方講座」に大幅加筆・修正した、独立開業バイブル。残念ながら絶版だが、ユーズドでも入手して読みたい。 | |||||||
英語屋さんの虎の巻 | 浦出善文 | 2001 | ¥680 | ||||
「英語屋さん―ソニー創業者・井深大に仕えた四年半」の著者が送る第2弾は、英語を実際に使うためのヒントが満載。電子辞書や検索サイトなど作業環境の整え方、説得力のあるプレゼンや交渉のしかた、国際的に通じる文書の作成方法など、万事が実践的な内容だ。日英をやるならまだしも、英日専門の翻訳者には英語のしゃべり方・書き方は関係ないなんて思ってはいけない。英語の書き手・喋り手はどういう状況で、どういうつもりでそのような文章を書くのかを知れば、日本語にするときに確実に間違いが減るのだ。 |